骨粗鬆症

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骨粗鬆症

骨折の予防が
寝たきりを防ぐ

理事長 楊 昌樹

 

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨が脆くなって、骨折しやすくなる病気です。


骨粗鬆症は、骨の強度が低くなって、軽い衝撃でも骨折を起こしやすくなる病気です。
骨粗鬆症自体による症状はほとんどありませんが、骨粗鬆症の人が骨折を起こすと、背骨の変形や腰痛が起こったり、寝たきりの原因になることもあります。骨折やそれにともなうさまざまな障害を防ぐために、骨粗鬆症は、早く見つけ、早く治療を始めることがとても大切な病気です。
超高齢化を背景に、日本の骨粗鬆症患者は1,300万人を超え、今なお増加の一途をたどっています。
また、先進国の中で唯一骨折が増えてるのは日本だけになっています。
これは、私は大丈夫という甘い考えの方が多い日本に対して、欧米では骨粗鬆症の治療が十分なされていることに起因しています。

骨粗鬆症は女性に多い病気です。


骨粗鬆症は圧倒的に女に多い病気です。閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では5人に1人、 70歳以上になると3人に1人が、 80歳以上になると2人に1人が骨粗鬆症といわれています。これは、女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっているからです。
その他、年齢や遺伝的な体質、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣なども骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の骨粗鬆症も問題になっています。
なお、他の病気の影響によって骨粗鬆症になりやすくなる場合もあります。

骨粗鬆症による骨折は「寝たきり」に繋がります。


介護は必要になった原因の9.4%が「骨折、転倒」によるものです。
骨折の中でも特に、太ももの付け根の骨折が「寝たきり」になりやすいといわれており、その骨折の多くは転倒によるものといわれています。
特に女性の場合、年齢とともに骨折の頻度は高くなってきます。
さらに骨粗鬆症は寝たきりになる確率を1.83倍高めます。
太ももの付け根を骨折したことがある60歳代の女性が、5年以内に再度骨折をする危険性は、骨折をしたことのない女性に比べ、16.9倍も高くなります。
背骨の骨折を一度おこすと、1年以内に5人に1人が再び骨折をおこすといわれています。
骨粗鬆症の原因の1つである「年齢を重ねる」ことは避けられません。
寝たきりにならず、元気で充実した日常をおくるためにも、普段の生活の中での骨粗鬆症の予防に家族みんなで取り組みましょう。

 

 

骨粗鬆症の検査は腰椎と大腿骨近位部で測定しましょう。

骨粗鬆症の診断基準では「骨密度の測定部位は原則として腰椎または大腿骨近位部とする」と定義されています。
わきだ整形外科では最新機器を使用して腰椎と大腿骨近位部でDXA法による測定を行います。
手首や踵での測定では正しい診断ができていない可能性があります。

 
 
 
 
 
 
 
 

その手の痛み、腫れ。
実は女性ホルモンの減少が原因かもしれません。

 

趣旨の不調は使いすぎや加齢によるものと見過ごされていました。

40歳代以降の女性に多い手指の不調は「使いすぎ」や「年のせい」が原因と考えられてきました。近年、その原因が女性ホルモンのエストロゲンの減少が関与していることがわかってきました。
エストロゲンには、関節の動きを維持したり、腱を保護するとの報告があることから、更年期にエストロゲンの分泌が急激に減少すると、関節や腱に炎症が起こりやすくなると考えられています。
このような症状がある患者さんで、骨粗鬆症の診断基準を満たす患者さんは、SERMという種類の骨粗鬆症の治療薬が効果があります。
SERM(ビビアント)は保険適応の内服薬です。
もし、骨粗鬆症の診断基準を満たさない場合は、エクレルというサプリメントをおすすめしています。こちらは保険適応ではありませんが、当院で1ヶ月分3960円(税込)で購入できます。(エクレルは大塚製薬が製造してるサプリメントです)

骨粗鬆症の治療について

私達の骨は新陳代謝を繰り返しています。骨を壊す細胞(破骨細胞)が古い骨を壊し、骨を作る細胞(骨芽細胞)が骨を作ります。
骨粗鬆症の方は、骨を壊す細胞が活性化しているのに、骨を作る細胞が頑張ってくれないために、骨がたくさん壊れて、骨粗鬆症になってしまいます。
 
女性の骨粗鬆症の原因はエストロゲンの減少です。70歳以下の患者さんにはエストロゲンに似たような作用をする内服薬、SERM(ビビアント)が良いでしょう。
ただし、高度の骨粗鬆症の方や高齢の方は骨吸収抑制効果の強い、ビスフォスフォネート(アクトネル、ボノテオ等)をおすすめします。
ビスホスホネートは骨の中に留まるお薬です。骨を壊す細胞はビスホスホネートが苦手です。破骨細胞が骨を食べようとすると、骨の中のビスホスホネートによって破骨細胞の働きが抑制され、骨吸収が抑えられます。よって、骨が増えます。ビスホスホネートは月に1回内服するだけです。
 
ビスホスホネートで効果がない、さらに高度の骨粗鬆症の方はデノスマブ(プラリア)を使用します。デノスマブは骨を壊す細胞がたくさん作られないようにすることで、骨吸収を抑えてくれるため、骨が増えます。
デノスマブは半年に1回注射をするだけです。
 
ほとんどの骨粗鬆症の治療薬は骨を壊す細胞の働きを抑えるものですが、骨を作る細胞を助けるお薬もあります。
圧迫骨折や、脆弱性骨折を起こした方には、早期に骨癒合を得る必要があります。テリパラチド(フォルテオ)やロモソズマブ(イベニティ)がそれに当たります。それぞれ特性が違い、使用できる期間も制限がありますので、医師の判断が必要です。テリパラチドは毎日自己注射、ロモソズマブは月に一回注射をします。
 
ビタミンD製剤、エルデカルシトール(エディロール)は上記治療に合わせて使用します。同時に使用すると20%程の骨形成促進効果があると言われています。
 
骨粗鬆症の治療は、実は複雑です。
きちんと正確な診断をして、適切な治療を行っている医療機関が少ないのが実情です。
是非、当院にご相談ください。