人工関節

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人工関節置換術

丁寧な手術と
リハビリ

理事長 楊 昌樹

人間の関節の可動部分は軟骨で覆われています。
軟骨はスケート場で滑るよりも摩擦係数が低いといわれていますが、その軟骨がすり減ってしまうと関節の可動性が悪くなり、動くたびに痛みが出現するようになってしまいます。
現在の医学ではすり減った軟骨を元に戻す技術は確立されておりませんので、軟骨の代わりに、人工関節を挿入して、痛みを取るのが人工関節置換術です。
現在では、人工関節はほとんどすべての関節に対して開発、実用化されていますが、手術を受けられる方の、ほとんどは膝と股関節で、わきだ整形外科でも多くの方に人工関節置換術を受けていただいています。
人工関節は入れるだけではうまくいかず、手術中の関節のバランスを調整や、設置角度が重要で、医師の十分な経験と高い技術が要求されます。
人工関節の種類はとてもたくさんあります。
最新で、信頼性の高い機種を使いこなすには、経験が必要です。
わきだ整形外科では常に最新で、信頼性の高い機種を使用した人工関節置換術を行っています。
また、術後のリハビリがしっかりできる体制が整っていないと、結局うまく歩けないなど、いろいろな問題が発生します。当院のように、経験のある理学療法士の元にリハビリができる体制が必要です。

人工関節を受けられる際は、経験のある医師と経験のある理学療法士が整っている施設かを確認してから、手術を受けられることをお勧めいたします


手術室の設備について

わきだ整形外科の手術室は厳しい基準をクリアーしているクリーンルームとなっています。
クリーンルームでは、特殊な空調により、ほとんど塵のない環境になっており、感染の抑制にも役立っています。


 

変形性股関節症

変形性股関節症は股関節の軟骨がすり切れてしまって、痛みを出す病気です。
昔の日本人のおむつの巻き方が悪く、股関節の臼蓋形成不全を小さいときから起こしていて、歳をとってから、変形性股関節症に発展する方が多いのですが、その様な要因がない方もいらっしゃいます。
痛みが我慢できる状態であれば、内服で治療します。
しかし、痛みで、日常生活に支障がでるようになれば、手術に踏み切った方が良いでしょう。

手術は人工関節を股関節の中に入れます。
術後、4週間で杖も使わず歩いて退院できるほどに改善します。
人工関節は痛みの改善があり、苦痛から解放されますが、和式トイレの使用は出来なくなります。
当院では術前に、自分の血をためる、自己血輸血を行いますので、輸血は使用する必要はありません。

2018年12月より、関節周囲多剤カクテル注射を導入しました。

従来は術後の痛みが強かったのですが、カクテル注射を行うと、全くと言っていい程、痛みがありません。

術後の痛みがなくなったと同時に術後の腫れも、出なくなりました。

その為に、リハビリの進み方が早くなりました。

人工関節はバランスを見ながら設置する必要がありますので、経験のある医師による手術が必要です。
不明なことがあれば、是非お問い合わせ下さい。
 
 


 

変形性膝関節症

年齢を重ねると軟骨がすり減っていくというのは、多くの方が認識していることだと思います。
しかし、ただ軟骨の老化によってすり減っていくというよりは、半月板損傷を契機として進行してしまうことが多いのです。
また、膝の靭帯損傷後に関節の安定性が失われた為に、軟骨が壊れて発症する事があります。
女性であれば、骨壊死が契機となる事もあります。
レントゲン撮影やMRI撮影を行うことで、骨の変形や軟骨の状態が分かります。
早めの治療で、手術を回避できることがあります。
そうでなくてもより低侵襲な治療で改善が出来る事があります。
すでに痛みが発生している場合は、まず痛みが出るような動作は避けましょう。
捻るような動作は特に避け、正座、横座りは良くありません。
軽い半月損傷はしばらくすると痛みが出なくなることもあります。
少しの痛みや違和感でも続くときは、受診をお勧めします。

症状が軽く、半月板の損傷が少ない場合は、ヒアルロン酸の注入や内服薬で治療を行います。
関節の動きが悪い場合は、可動域訓練と共に筋力訓練など、リハビリを行う事があります。
症状が強く、半月板の損傷がある場合は、関節鏡での治療を考慮します。
半月板が残っていれば、関節鏡での半月板縫合術や、部分切除術が有効な場合があります。
最近では、関節鏡でのセントラリゼーションという新しい治療も始まっています。
症状が強く、半月板が消失している場合は、人工関節置換術の適応です。

人工膝関節置換術とは、傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、人工関節に置き換える手術です。人工関節は、金属と耐久性に優れた硬いポリエチレンでできています。
人工関節のメリットは痛みが取れることです。立ち上がる時や、歩行時に常に悩まされていた痛みから解放されます。
デメリットとしては、動きに制限があること、耐久性の問題があること、術後に強い痛みがあることです。
膝の動きに関しては、十分なリハビリを行うことで、日常生活おいてほとんど、困る事はありません。
耐久性については、現在の人工関節は十分な耐久性が確保できている為に、あまり問題とならなくなってきました。以前よりも若い年代の方々でも手術を受けることが出来ます。
最新の人工関節では以前よりも患者さんの骨を温存できるようになり、1mm単位での調整が可能となっています。O脚などの変形や拘縮は手術の際に、解消します。
人工膝関節置換術のデメリットとして、術後の強い痛みがありましたが、関節周囲多剤カクテル注射という新しい技術により、痛みと術後出血を劇的に減らすことが可能となっています。さらに、当院では、術後にPCAポンプ(自己調節鎮痛法)を用いて、翌日まで痛みを減らして、術翌日からのリハビリも苦痛なく行えるようになりました。
ほとんどの患者さんが術後10日以内に、膝の完全伸展と90度以上の屈曲を獲得し、杖なしで歩行可能となります。
術後の合併症として、深部静脈血栓症が挙げられますが、血栓予防の薬の発達と、早期のリハビリが可能となったことで、以前より起こりにくくなっています。

人工膝関節置換術は十分なリハビリを行わないと、十分な動きが獲得できない事があります。入院中は術翌日からリハビリを開始します。
リハビリの内容は可動域訓練と筋力訓練、歩行訓練が主になります。
その他、床からの立ち上がりや、階段昇降訓練を行い、自宅での生活に備えます。
拘縮がある場合は、術前よりリハビリを開始することがあります。
術後2-3ヶ月はリハビリの継続が必要です。

現在の人工関節は十分な耐久性を備えていますから、過度な動作の制限は必要ありません。
ゴルフぐらいの負荷であれば、十分可能です。
しかし、過度に捻る動作は、人工関節に悪影響がある為、避けましょう。
ただし、転倒して、骨折が起きた場合は非常に治療が難しい場合があります。
転倒、転落には十分な注意が必要です。

手術を受けた多くの患者さんから、「立つたびに膝が痛くて、立つのが億劫だったんです。でも、人工関節を入れてから、痛みがなくなって、立つのが億劫で無くなりました。こんなことなら、早くすれば良かった。」とか、「旅行に行っても、痛みなく歩けて、楽しく過ごせた。」と喜びの声をよく頂きます。
また、以前に人工膝関節置換術を受けた患者さんが、もう片方の手術の際に、関節周囲多剤カクテル注射を併用した、人工膝関節置換術を受けると、術後の痛みの軽減に驚かれます。
翌日からのリハビリもスムーズに進み、術後の成績がさらに改善しました。

膝の治療は、近年大きく進歩しました。
内服薬も副作用が少なく、痛み止め効果が強力な新しいお薬が使えるようになりました。
さらに、関節鏡の発達で、大きな手術を回避できる事も多くなりました。
人工関節おいては、最大の難点であった術後の強い痛みや耐久性の問題が解消されました。
核家族化が進み、平均年齢がさらに伸びる時代となりました。
最後まで、歩ける体を維持しなくては、なりません。

わきだ整形外科では、患者さんに合った治療を提案しますが、無理に行う事はありません。
不安に思って、悩むよりも早めの受診をお勧め致します。