神経障害性疼痛

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神経障害性疼痛

普段私たちが感じる「痛み」には、切り傷や打撲による痛み、すぐに治る痛みや長く続く痛み、刺すような痛みやだるい痛みなど、様々な「痛み」があります。
その「痛み」は、引き起こす原因によって、大きく3つに分けられます。

炎症や刺激による痛み(侵害受容性疼痛)


ケガや火傷をしたときの痛みです。ケガをするとその部分に炎症が起こり、痛みを起こす物質が発生します。この物質が末梢神経にある「侵害受容器」というところを刺激するため、「侵害受容性疼痛」と呼ばれています。
このような痛みのほとんどは、急性の痛みで、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)や腱炎(けんえん)、腱鞘炎(けんしょうえん)、関節リウマチなどがあります。

神経が障害されることで起こる痛み(神経障害性疼痛)


何らかの原因により神経が障害され、それによって起こる痛みを「神経障害性疼痛」といいます。
帯状疱疹が治った後の長びく痛みや、糖尿病の合併症に伴う痛みやしびれ、坐骨神経痛、また脳卒中や脊髄損傷による痛みなどがあります。傷や炎症などが見えないにもかかわらず痛みがある場合には、神経が原因となっていることがあります。

心理・社会的な要因による痛み


不安や社会生活で受けるストレスなど、心理・社会的な要因で起こる痛みです。

 

神経が障害されることで起こる痛み(神経障害性疼痛)とは

「痛み」には、その原因がはっきりわかるものと、わかりづらいものがあります。傷は治ったのに痛みだけが残る、病気をきっかけに長く痛みが続くなど、何らかの原因で神経が障害されて痛みが生じていることがあります。このような痛みを、「神経障害性疼痛」といいます。


痛みの種類を見分けることは大変難しいことですが、以下のような症状がある場合は、神経障害性疼痛かもしれません。
  • しびれ感を伴う痛みを感じる
  • 発作のように強い痛みが、短い間隔で襲ってくる
  • 普段は何でもない程度の刺激に対して、強い痛みを感じる
  • 少しの痛みが、とてもひどい痛みに感じる
  • 強い針で刺したような痛みを感じる
  • 電気が走るような痛みを感じる
 

「神経障害性疼痛」の原因



「神経障害性疼痛」となる原因には、次のような場合があります。
  • 帯状疱疹ヘルペスなどのウイルスの感染によって、神経が障害された
  • 糖尿病などの代謝障害によって、神経が障害された
  • 脊柱管狭窄ヘルニアによって神経根が圧迫、障害された
  • 化学療法の副作用によって、神経が障害された
  • 事故やケガなどで神経が切断された障害された
  • がんの腫瘍によって神経が圧迫された
  • がんの腫瘍が神経に広がった     
などです。


このうち、わきだ整形外科で治療できるのは
  • 脊柱管狭窄ヘルニアよって神経根が圧迫、障害された
  • 帯状疱疹ヘルペスなどのウイルスの感染によって、神経が障害された
上記の患者さんです。

「神経障害性疼痛」の治療

 
  • 薬物療法
  • 神経ブロック療法
  • 手術療法

薬物療法

痛みの治療を行う際に、最も一般的に実施される治療は、薬剤を用いる「薬物治療」です。
薬物治療に用いる主な薬剤には、NSAIDs(非ステロイド性消炎・鎮痛剤)、ステロイド、神経障害性疼痛治療薬、鎮痛補助薬、オピオイド、麻酔薬などがあります。
薬物治療では、さまざまな薬剤を病態や症状に合わせて、使い分けています。

神経障害性疼痛治療薬

神経障害性疼痛治療薬とは、痛みを伝える物質の過剰放出を抑えることで痛みをやわらげるお薬です。
副作用には、眠気やめまいがありますが、上手に導入すれば、あまり感じる事はありません。
保険適応になったのは数年前からです。内服量の調整が難しいので、楊昌樹の様な経験のある医師の基で使用されるべきお薬です。誤った使い方をされている患者さんが散見されます。

NSAIDs(非ステロイド性消炎・鎮痛剤)

NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性消炎・鎮痛剤)とは、ステロイド以外の抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称です。いわゆる「痛み止め」として、さまざまな痛みに対し、処方されています。一般的には、痛み、発熱の際に使用される「解熱鎮痛薬」とほぼ同じ言葉として用いられています。
NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を経由して、痛みの原因である発痛物質プロスタグランジンの生成を抑えることで痛みを鎮めます。
NSAIDsは、鎮痛薬としては効果の高いものであり、広く普及していますが、副作用として、胃腸障害などが知られていますが、副作用を軽減したタイプのものも開発され、普及しています。

オピオイド

オピオイドとは、オピオイド受容体と呼ばれる部位に作用して強い鎮痛作用を示す医療用麻薬です。
がんの腫瘍などの原因によって神経が損傷を受けて発生した痛みは、脊髄を経て脳へ伝達されることで痛みとして感じられます。脊髄と脳にはオピオイド受容体と呼ばれる部位があり、オピオイドはこの受容体と結合すると、脊髄から脳への痛みの伝達を遮断して、鎮痛効果を示します。
がん性疼痛に保険適応が認められていますが、がん性疼痛以外の疼痛に対しては、激しい疼痛の場合などに一部のオピオイドのみの使用が認められています。
オピオイドは強力な鎮痛薬ですが、吐き気・嘔吐、便秘、眠気といった副作用が知られています。また、連用によって薬物依存を起こしやすいため、観察を十分に行い、慎重に投与することが必要とされています。
また、神経障害性疼痛治療薬と一緒に内服すると、強い眠気が出現することがあり、注意が必要です。
内服量の調整が難しいので、楊昌樹の様な経験のある医師の基で使用されるべきお薬です。
また、処方には特別な免許が必要です。

神経ブロック療法

「神経ブロック療法」とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす方法です。麻酔薬が神経に作用し、痛みの刺激が神経を伝わるのをブロックすることで、痛みを取り除きます。神経ブロック療法には、 いくつか種類があり、痛みの種類や症状により使われます。主なものは以下の通りです。

星状神経節ブロック

くびの骨の両隣にある「星状神経節」という交感神経の節に局所麻酔薬を注射して、交感神経の機能を一時的に抑える方法です。
主に、頸椎椎間板ヘルニアの患者さんに行います。

硬膜外ブロック

脊髄を覆う「硬膜(こうまく)」の外側にある「硬膜外腔(こうまくがいくう」に麻酔薬を注入して、神経の炎症を抑えて痛みを取る方法です。おしりの方から行う場合は、仙骨裂孔ブロックとも言います。
主に、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症の患者さんに行います。

手術療法

保存療法では、症状の改善が見込めない場合に、手術療法が必要となります。
わきだ整形外科で治療する場合は、頸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症の場合は脊椎内視鏡下手術で治療できる場合が多い疾患です。
脊椎内視鏡下手術で治療後は翌日より歩行可能となります。
場合によっては、椎体間固定術が必要となる場合がありますが、わきだ整形外科で治療する場合は、最新のCortical Bone Trajectoryを用いた椎体間固定術で行いますので、通常の椎体間固定術に比べ、強度が高く低侵襲な治療となります。